我れ若し女帝の密使なりせば

lecorsaire.exblog.jp ブログトップ

"生死の大人遊び" 吉本大輔×小田巻美良璃コラボレーション


経王寺のあちこちには水子のお地蔵が、ちんまり手をあわせて立っていた。





石段を本堂まで登っていく足もとに垂れた、赤い長い帯が、産道かへその緒であるかのように、濃密な時間の予兆、予感をかきたてた。

大輔さんの舞踏に、触れるというより身を浸していると、どうらんを塗った肌いちめんからただよう白い轟きのなかにつぶれそうになる。流麗さを捨て去った舞踏が、公演の時間を、裂け目だらけにしてのたうちまわらせ、吸収する空気や視線、イマジネーションも舞踏させてしまう。
本堂の中心で大輔さんが白光し、左右にひろがる一双屏風が、表面に打ち重ねた無数の赤手形をまるで彼岸花の園のように咲かせている。玲瓏な芳香がなみうつ。ユリをたばねると鞭にして、南蛮苦行者のように白い肌をムチ打つ。
バッハのシャコンヌを、寺じゅう外まで響かせ、車道にとびだしヘッドライトとクラクションをかきわけながら庭に戻ると、暗中にしみわたるしらはだを脈動させ、天まで伝うと、舞踏する星のきらめきが夜空の淀みをあらいおとす。

水子!?たちの、濃い匂いが、庭中を、どかどか走りまわる。
「コラーーーーーーッ、ちゃんと、踊れ!!!!!!」舞踏の"大人遊び"が逆回転し、生と死の結び目があかいオビのうえで、妙なる文様をひろげる。



開演20分ほどまえに庭にいた黒猫は、その後二度とあらわれなかった。
[PR]
by lecorsaire | 2010-11-04 19:29 | 公演

「騎上の陛下におかせられては周知のごとく、人生はもっとも大胆で華麗な賭けをうたう剣とマントの物語でございます」


by lecorsaire
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite