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我れ若し女帝の密使なりせば

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Phenomena (奇蹟は、つづく)

日付は変わって19日、夜の町田のライブハウスでバンドPhenomena主催のイベントをみる。
エントランスには、この日のために生け贄にされた白無垢花嫁の衣裳の切り裂きが天井からつるされて、波うつ。
地階へ降りていくと、ステージではNIRVANAの"BREED"が荒れ狂っている。もみくちゃな客たちの雄たけびがひしめく。手の中の、紙コップの氷がライトの中で刃いろに光っている。
ステージのボーカルは吠えている。何ものも信じないことを信じているように、声ぜんたいが、血管の激流におおわれている。

Phenomenaは、トリだった。前回あたりから、Phenomenaには新しい顔が生まれはじめたようだ。それは・・・・「無愛想」。
前回の、そぎおとしの極まった音世界のライブにも魂消たが今回は、いつもながらの緻密でリアルな交響楽的細部描写をおしげなく展開しつつも、曲そのものは、ニヒリズムの女神像、「悪霊」のスタブローギンのふたごの妹?といった冷たい横顔をうかべ、ステージじゅうをブーツの音高く、行き来しているごとくであった。

「蝕」というPhenomenaの曲がある。ロックがこれほど見世物歌舞伎・シアトリカルの夢をみずから見たがっているのを、わっしはいままで聴いたことがない。CDではなく、実演で聴くと、600分ぐらいに聴こえるのだが、ふわっと魂がぬけるのを毎回感じる。
Phenomenaと、その曲は、がっしりした舞台地面と、それをふみしめる脚力がなければ成り立たないのだ。


メンバー五人の燃焼を全身にあびて、19日の夜の全6曲はどこまでも冷酷に、きりきり張りつめた輪郭をうかべて屹立した・・・・




Phenomenaは、かれらがテーマにかかげる美貌畸形に、また一歩近づいたのか。

それよりも・・・




いいや、今回はもう書くのをひかえよう。余韻の濃さを、もう数日は保ちたい。
by lecorsaire | 2007-08-20 19:41 | 音楽

「騎上の陛下におかせられては周知のごとく、人生はもっとも大胆で華麗な賭けをうたう剣とマントの物語でございます」


by lecorsaire
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