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我れ若し女帝の密使なりせば

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12/19 **IMMIGRANT HAUS#4**

先日の、TOKYO DARK CASTLEでねばりつくような艶麗なライブを披露したバンド、LLOYが主催する、クリスマスイベント”IMMIGRANT HAUS#4”に出かけた。

渋谷の東急ハンズそばに掘った、地下への階段をおりると会場のチェルシー・ホテルが一面、ロウソク明かりや石膏像、天井から下がるシャンデリアや白レースで飾りつけられ、外からの空気は完全に遮断された、人工楽園がひろがっていた。
耳をすませばフランス語があちこちからきこえてくる。網タイツに黒のコルセットで飾った白面ブロンド長身のカバーガールさんたちがあるきまわり、バンドのライブが始まるたびに、ステージ左右から張った薄奢な紫のカーテンを、彼女たちが開いていく。

パリから来たdead sexy(ヴォーカルの右腹には”捲土重来”のタトゥーが)、TOKYO DARK CASTLEのリーダーJunet率いるauto-mod(最近はセカンドヴォーカルにカウンターテナーが参加してる!)といったバンドが、強音なくせにしなやかなライブを披露すると、セッティングにひときわ時間をかけて、ステージまで白レースまみれにした、トリをかざるLLOYが、カタラーニの「ワリーのアリア」をBGMに登場した。

まちこがれた観客の、ものすごい数!


一曲目の、放縦な愛にふるえる中東の半神レザミーを歌詞に、スロータッチにうたう女ヴォーカルは、真っ白な両腕と両脚をむきだした裸足すがたをからだの線ごとライトにうかべ、けむり立つ大麻迷宮のようなメロディーをまよいめぐっては、ウィスパーのきいた歌声を、宙かなたまではしらせる。

ライブが進むにつれ、体は素直に曲にのってくる。
還元濃縮されて旋回加速するメロディーが、何十色もギラギラ輝いて沸騰する。ヴォーカルは、恥らうように、あざけるように、英語の歌詞をちりばめて、ものすごいウィスパーをきかせて挑発する。
一曲おわるたびに、フランス語の嬌声が炸裂する。





繊細微妙のわざある手もて、
瑪瑙の、とある文理のなかに、
たずねもとめよ
アポロの神のおん横顔を。

画家は棄て去れ水彩の絵を、
七宝工の陶窒に入れ、
移ろひ易き
色彩をして、固定せしめよ。

描けよ、青き人魚の群の
よろずの態にその尾鰭をば
くねらせしむるを、
また紋章の怪異のむれを、

円三瓣の光背めぐらす
聖母マリヤと御子キリストを、
王権の章、
十字架据ゑし黄金の球を。


(テオフィル・ゴーチエ)

by lecorsaire | 2006-12-21 17:04 | 音楽

「騎上の陛下におかせられては周知のごとく、人生はもっとも大胆で華麗な賭けをうたう剣とマントの物語でございます」


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