我れ若し女帝の密使なりせば

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映画『何も変えてはならない』 


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映画『なにも変えてはならない』はポルトガルの鬼才、ペドロ・コスタの新作。

ひさしぶりに、映画をみおわって外に出るのが惜しいって感じた。







女優で歌手で、オペレッタも歌えばポップスもうたうジャンヌ・バリバールの
「何も変えてはならぬ すべて変わるために」
こう歌う場面の、息をのむカメラの美しさに出会ってしまう。



途方もなく美しい構図と、虹色のようにイマジネーションをかきたてるモノクロ画面に、ジャンヌと一緒に観衆たちもまきこまれてゆく。
天上的あるいは悪魔的なロングショットの積み重ねに張り合うように、録音スタジオのなかで、おなじフレーズをえんえんと歌うジャンヌ。


「神(悪魔)は細部に宿る」の反対で、ロングショットされた画面からは、細かい描写が、どんどん消えていくように見える。音楽そして映画の世界の外ではけして存在できない、シンプルな「核」以外を画面から追い出していく作業が、ハッと息をのむ奇跡をうみだす。


ジャンヌがオペレッタのレッスンのシーンで、しごきの連続に耐えかねる顔面のクローズアップのロングショットを観ているうちに、映画『裁かるるジャンヌ』のルネ・ファルコネッティの顔面クローズアップを連想せずにいられなくなった。



そんな聖ジャンヌ・ダルクのイメージや、
ジャンヌ・バリバールの、いとも雄々しいケツ顎(お尻みたいにきれいに割れたあご)が、まるで両性具有者だとか、放縦にわきあがるイマジネーションに浸っているうち、

クライマックス、スタジオで狂気のように録りつづけ、ついに完成した音楽のテープの、スピーカーからの爆発乱舞をバックにジャンヌがワインをビンごと、踊るようにガブ飲みするのだから、観ているこっちも一緒に踊りたくなってきた。
画面の中でジャンヌが笑っている。こっちも笑いが、つきあがってきた。
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by lecorsaire | 2010-08-14 21:44 | 映画

「騎上の陛下におかせられては周知のごとく、人生はもっとも大胆で華麗な賭けをうたう剣とマントの物語でございます」


by lecorsaire
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