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我れ若し女帝の密使なりせば

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『モーツァルトの恋』

youtubeの予告篇を観たあとで劇場に行くと画面の汚さに驚くかもしれない。モーツァルトが闊歩した18世紀のウィーンやプラハが典雅な描写で描かれているので、全篇111分の初め頃は画面の汚さが恨めしくなるかもしれないが、でもだんだん気にならなくなってくるはず。映画が造られた頃は1940年代なので、当時のウィーン・フィルの匂いたつような熟奢な響きが堪能できる。歌手のルイーゼを演じる、イレーネ・フォン・メイエンドルフが宮廷歌劇場の絢爛なステージと衣装でうたうソプラノが蠱惑的に甘く蕩けて心地いい。『フィガロの結婚』のアリアがすごく可愛かった。ちなみに『フィガロ』も『ドン・ジョヴァンニ』も、歌詞はすべてドイツ語。
『後宮からの誘拐』で、太守の下僕長官オスミンを歌う歌手のバスが気に入った。




ライトゲープFranz Anton Leitgeb (or Leutgeb 1744-1812 『レクイエム』をモーツァルトに依頼した真犯人フランツ・フォン・ヴァルゼック=シュトゥーパッハFranz von Walsegg-Stuppach伯爵の使者。「灰色の服を着た男」)は残っている肖像画が非常に不気味だが、それらしさは映画でもうかがえる。




クライマックスで、ベートーヴェンがモーツァルトの家にやってきて、「月光」ソナタの冒頭とラストを弾く。正確なセリフは再現できないけれど、こんなセリフを言う。
「樹が花をつけたり、鳥が歌う事に、心を動かされない輩は大勢いるでしょう。しかし彼らに構う事もなく、樹はうつくしい花をつけ、鳥はうつくしい声で歌う。わたしはそんな音楽を書きたいのです」



ド・タレイラン=ペリゴール伯爵の名言、"おいしい珈琲は、悪魔のように黒くて地獄のように熱く、天使のように清らかで恋のように甘い。" これをウィーン会議以前の大衆カフェで聞けたので一人で嬉し笑いした。


www.cinema.de スチール写真14枚
by lecorsaire | 2011-05-20 05:47 | 映画

「騎上の陛下におかせられては周知のごとく、人生はもっとも大胆で華麗な賭けをうたう剣とマントの物語でございます」


by lecorsaire
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